CROとは開発業務受託機関、Contract Research Organizationの略で医薬品開発段階での臨床試験(治験)、医薬品の市販後臨床試験などに関わる業務の一部を代行、支援する企業のことを言う。
新GCPの第12条には「治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文章により当該受託者との契約を締結しなければならない」そして第15条の8には「自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関は、治験の実施の準備及び管理に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文章により当該受託者との契約を締結しなければならない」とあり、CROとは医薬品開発業務のアウトソーシング企業であると定義されている。
もともとCROは欧米で認知度が高かったが、日本では1997年の薬事法改正で治験基準が厳格化し、法的に認知された。それ以降は日本国内でもCROへの注目が高まり、今や新薬開発においてCROは欠かせない存在となっている。
CROの業務範囲は各CROにより異なるがその範囲はきわめて広く、主に医薬品開発の戦略立案に対する支援、治験遂行の支援、市販後調査の実施に関する支援などである。
以下にCROとは何なのか、主たる業務を見てみよう。
1) 試験実施計画書(プロトコル)の作成
サンプルサイズの設定、治療法の割り付け、解析方法、調査表の設計など、質の高い臨床試験が実施できるようにコンサルティングを行う
2) モニタリング
新GCPと治験実施計画書を守り、治験の「質」と成績の「信頼性」を確保するための業務をモニタリングと言い、この業務を遂行する人をCRA(臨床開発モニター)と呼ぶ。モニタリングの目的は被験者の人権、安全及び福祉がきちんと保護されているか、治験が最新の治験実施計画書、GCPに規定する基準を遵守して実施されているかどうか、治験責任医師または治験分担医師から報告された治験データなどが正確かつ完全で、原資料などの治験関連記録に照らして検証できることなどである。
3) データマネジメント業務
データの入力、チェック、修正、管理を通じて回収された症例報告書(CRF)のデータをデータベース化する業務である。この業務を遂行する人をDM(データマネジメント)と言う
4) 統計解析業務
生物統計学の手法を用いて、治験の結果を解析し、治験薬の有効性及び安全性を、統計学的に説明(検証)する業務。
CROが加入する業界団体には日本CRO協会があり、CRO団体が結成されたのは日本が世界で最初である。会員企業はおよそ30社で、加盟各社が遵守すべき自主ガイドラインを制定し、自主勉強会や専門家による講演会の実施など、常にCRO業務の質の確保と向上を目指している。
日本CRO協会によれば、2017年における同協会会員企業の総売上高は1900億円となっており、CROの市場は高成長時代が終わると同時に再編が加速している。国内では、大手のシミック、イーピーエスの2強が突出した強さで、これに大手外資系のIQVIAを加えた3社で大手3強を形成している。中堅CROは、アジアを中心に本格的な海外展開に動き出し、小規模CROは特化型を目指して生き残りを図ろうとしている。
今後、CROの整理・統廃合の動きが確実に進む一方で、成長が著しい中国をはじめとしたアジア市場の取り込みを目的に、戦略的な提携が活発化するものと見られる。国際共同治験の件数は増えており、この分野への取り組みが各社の成長の鍵となりそうだ。また、日本CRO協会によると、会員企業の総売上高に占める外資系企業の割合は30パーセントとなっており、今後もCROのグローバル化がより加速すると思われる。
おすすめ
CRA(臨床開発モニター)・CROの求人・転職は《CRAばんく》
《CRAばんく》は臨床開発モニターの求人・転職に特化した求人サイト。大手CRO、中小CRO、製薬企業の求人まで幅広くカバー。年収査定、合格予想、応募書類添削、面接対策、口コミ情報なども充実!
https://cra-bank.com/ - CRAばんく
「CRO」とは?
CROとは、Contract Research Organization(開発業務受託機関)の略で、製薬企業が行う臨床試験を支援する組織です。CROの業務内容だけでなく、理解するために必要な「歴史」「将来性」「主な業務」「製薬会社・SMOとの関係」「主なCRO」を解説しています。
https://cra-bank.com/crotoha - CRAばんく - オススメの記事
「CRO」企業・業界ランキング
CRO(開発業務支援機関)企業の一覧をランキング形式でご紹介しています。「7大グローバルCROグループ」から「国内大手CRO」「領域特化型CRO」まで、海外国内CROの「従業員数」「CRA数」「拠点数」「資本金」「売上」などの特徴が分かります。
https://cra-bank.com/croranking - CRAばんく - 人気の記事
「製薬会社・業界」ランキング
医療用医薬品を対象とした画期的な新薬の開発を通じて、世界の医療に貢献してきた製薬企業約70社が加盟する任意団体、製薬協(JPMA)内における製薬会社のランキングです。
https://cra-bank.com/seiyakuranking - CRAばんく
CROが提供するサービス
医薬品開発において、CROが提供するサービスの概要を紹介します。
http://www.jcroa.or.jp/customers/service.html - 日本CRO協会
CRO企業の中で、将来性のある会社はどこだと思いますか?
将来性のある会社は、内資大手C、E、M3と外資大手Q、Pの5社だと考えています。この理由は、CRO市場規模が1600億ほどであり、上記5社で市場規模の半分を占めているからです。特に私が注目しているのはM3です。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10158069080 - Yahoo!知恵袋 - オススメの記事
CRO 止まらぬ市場拡大…今年は2000億円規模に
CRO市場の拡大が止まりません。CRAを中心に人員の増加も急ピッチ。大手への集約化が進み、外資も攻勢をかけています。
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/9603/ - AnswersNews
CROとは
■臨床開発とは
臨床開発とは厚生労働省承認前の薬剤を患者や健康な人に投与(治験)して、有効性や安全性のデータを収集し、それらを資料にまとめて厚生労働省に申請して、医薬品としての承認を取得するまでの過程のことを言います。
■臨床開発モニター(CRA)とは
厚生省令GCP第2条において、「治験が適正に行われることを確保するため、治験の進捗がこの省令及び治験の計画書に従って行われているかどうかについて、治験の依頼をした者が実施医療機関に対して行う調査をいう」と規定されています。CRAは薬剤師、MR、看護師、臨床検査技師、その他の医療関係者があたることが多く、治験に関する治験契約、モニタリング業務、症例報告書チェック・回収、治験終了の諸手続きなどを行います。このモニタリング業務は新GCPの二大目的が達成されているかどうかを確認する、最も重要なものになります。
■治験コーディネーター(CRC)とは
厚生省令GCP第2条において、「治験実施医療機関において、治験責任医師または治験分担医師の下で治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師、臨床検査技師、その他の医療関係者をいう」と規定されています。 CRCは看護師、薬剤師、臨床検査技師、その他の医療関係者があたる事が多く、院長の承認を受け、治験依頼者(モニター)や医療機関内のスタッフ、治験責任医師、治験分担医師、治験薬管理者、検査部門担当者、医事課、病歴室スタッフ他ならびに、被験者との間を調整(コーディネート)する役割を担っています。